1. 中国語がほとんど話せなかった時に日本語が全く話せない中国人女性とデートした話[後編]

2015.12.252016.01.04

中国語がほとんど話せなかった時に日本語が全く話せない中国人女性とデートした話[後編]

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雑記

中国語がほとんど話せなかった時に日本語が全く話せない中国人女性とデートした話[前編]の続き。台北を旅行中にひとりの中国人女性と出会い、徐々に仲良くなってきたところで色々あって、お互い別の場所に向かうためお別れをした後の話。

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離れた2人

香港のシンフォニー・オブ・ライツ

彼女と別れた後も少しだけだがLINEでやりとりをしていた。それぞれ別の場所に向かったので内容は主に互いの旅の報告だ。

あの後僕は台北を離れて台南→台中→台北→香港→マカオ→香港とずっと1人で旅をしていたのだが、ある程度緊張感を持ちながら行動しないといけない海外にも関わらず、気が付くとぼんやりと考えてしまうのは台北で出会った彼女のことだった。

特に香港滞在最終日の天星碼頭で鑑賞したシンフォニー・オブ・ライツという香港の建物を使った盛大なライトショーは、個人的に内容は微妙だったにしても周りがカップルだらけで無駄な感傷に浸らせるには充分だった。

日本の家に帰ってきてからも彼女とのやりとりはしばらく続き、ある日「また機会があったら遊ぼうね。」という連絡を受ける。

それに対して僕は「じゃあ僕が機会を作るよ。君の住む韓国でデートしようか。」とすぐさま提案をする。

すると即答で「いいよ」との返事が返ってくる。彼女の住む街がソウルであることを確認しその場で日本と韓国を往復する飛行機のチケットを購入した。

ちなみに出発日の前々日まで僕はドバイに滞在している予定で、さらに韓国から帰国した翌々日は台北での新生活も控えていた。

ソウルで再会

弘大にいたマスコット的なキャラクター

韓国に到着した初日、標識に見慣れた言語の存在しない極寒の街で節約のために予約した駅から遠いホテルを探すのは大変だったけど、無事にそれを乗り越え今日は韓国滞在2日目。彼女との約束の日である。

見慣れない街、見慣れない言語、そしてコミュニケーションが満足に取れるか分からない相手とのデートする世界が数十分後には確実に存在する。それはもうとにかく緊張した。自分の姿が映るガラス扉を見つけては自分の格好が変じゃないか何度も確認する。

はじめはソウル駅で待ち合わせする予定だったが、土地勘のない僕のために彼女が僕の宿泊したホテルの最寄り駅まで来てくれるという。そろそろ彼女との約束の時間がやってくる。

街ち合わせをした地下鉄の出口階段の奥からコツコツと音が聞こえてくる。足音を聞いて僕はすぐ彼女だと分かった。聞き覚えのある力強いステップもそうだが、その駅付近にこういう種類の音を立てそうな靴を履いた若い女性はいなかったからだ。

一度駅の出口から視線を外してから再び駅の方に視線をやると、案の定階段を少しだけいそいそと上がってきた彼女が見えた。

台北で会った時より背丈が大きい。その時の機能性を重視したファッションから、ブーツなどを履いて見た目を重視したファッションになっていた。

余計なお世話だけど、台北で一緒に朝ごはんを食べた時に気になった化粧の雑さは微塵も感じなかったし、中国人の天真爛漫な元気さと、長い間韓国で生活をしてソウルっ子的なファッション感覚を身に付けた彼女は限りなく完璧に見えた。

彼女は「久しぶり!」という僕の湧くような挨拶はそこそこに受け流して、「よっしゃ今日はお前の行きたい所に私ディレクションで案内するからな!」と言ってくる。

台湾人もそうだけど何で中華圏の人は、久しぶりの挨拶をさらっと流すかなーと思い少し悲しかった。

彼女の案内で初ソウル

明洞

その後は僕の「本場のサムゲタンを食べたい!」という曖昧なリクエストのもと、彼女の案内で有名なお店(サムゲタンしか置いてないお店)に行き韓国レストランの特徴とか料理の食べ方を教えてもらったり、外国人観光のド定番スポット明洞へ移動して屋台のトッポギとかワッフルを買って2人で食べた。

ちなみにこの時の韓国は2月で真冬も真冬。日本の福島県と同緯度に位置するソウルは当然寒い。気温は日中でも5度くらいが限界だったと思う。ちなみに上にも書いたよう僕は韓国に来るほんの2,3日前まで平均気温30度の国(UAE)にいた。

屋外でトッポギを食べている時に僕が寒そうにしていたら、彼女は「私の出身地はもっと寒いから平気だよ~」と言って自分に身に付けていたマフラーを僕に巻いてくれた。彼女の髪から薫る匂いと同じ匂いがして少しドキドキした。

韓国で見る彼女はまた新鮮だった。

普段はキビキビ動いて中国語ではっきりとした発言をする彼女だが、韓国の店員と話す時はおずおずと韓国語を使うのでそのギャップがとても可愛らしい。

その一方で、休憩のためカフェでコーヒーを飲んでいたら、彼女がどこから取り出したのか急にミカンを剥いて食べ出したりして僕はその様子が無性におかしくて笑った。そんな僕の反応を見て彼女は不思議そうな顔をしていた。

彼女はいつも自然体だ。彼女の国から日本に伝わった言葉を借りれば、こういう様を天真爛漫と言うのだろう。

その後は弘大という大学のある若者の街へ移動して、2人で洋服を見たり雑貨を見たりしてウィンドウショップングを楽しむ。

洋服はなんというか西洋文化の影響を受けて「お、おう。」という反応にならざるを得なかったが、その一方で雑貨デザインのレベルは高いと思った。色彩で言えば結構好きなビビット系の色合いが多く、非学習から見ると記号にしか見えないハングルが配置されることでスパイスとして良い味を出している。

色とりどりの商品を目の前にした彼女は「あ、これ見て!」「アレも可愛い!」と僕の想像通りの行動をとる。喜怒哀楽全てを直情的に表現するのは良い面も悪い面もあるが、プラスの感情を素直に表現する人は魅力的だ。

やがて夜が近づき、夜ご飯は韓国といえばのサムギョプサルをまたもや僕のリクエストで堪能しながら韓国ビールを飲み、僕の初韓国の感想や互いの今後の人生の話などを少し掘り下げて話した。

旧正月直前のソウルの夜

清渓川

ちなみにこの日はちょうど旧暦の大晦日にあたる日で韓国も例外なく旧暦の新年を迎える習慣があり、街からは人気がほとんど感じられず、夜になるとより一層あたりは閑散としていった。

昼から2人で街を歩き、色々な物を食べて、色々な物を見た。夜ご飯も食べてお酒も飲んだ。時間的にはそろそろお開きである。

僕は最後の締めに、妹から貸してもらったガイドマップ情報で得た、ライトアップが綺麗だという噂の清渓川へ行きたいというリクエストをした。

「オッケー!」と元気に返事をしてくれる彼女。だがしばらく歩いた後、夜という普段の視界と異なる要因もあってか道に迷ってしまう。そして彼女は突然座り込んでしまった。

僕は幸い韓国へ降り立った後すぐプリペイドSIMを購入してネットを使えるようにしていた。グーグルマップをすぐさま確認し「大丈夫!大体場所が分かったから、僕が案内するよ!」と言い、「ごめんねぇ…今日は私が案内するはずの日なのに…」とメソメソする彼女の身体を起こした。

清渓川に向かって歩く途中、彼女は寒そうにしていた。日が落ち夜になった韓国は更に寒さを増し気温は既に-10度。けど彼女は何度も僕に「寒くない?大丈夫?」と聞いてくる。

僕は彼女からずっと借りて身に付けていたマフラーを返そうとした。けど「アナタのほうが寒がりなんだから、巻いておきなさい!」と突き返された。

彼女の性格上こうなった意地でも受け取らないという事は分かっているので少し考える。時間にしたら数秒だが思考の末、ベタに「こうすれば少し暖かくなるかな。」と言いながら彼女の手を握ってみた。

いきなりの事だし、気の強い彼女のことだから殴られるんじゃとも思ったけど、彼女は「あぁ~」とか声にならない声を漏らしながら、参ったなという表情で少し下を向き、とても恥ずかしそうに笑っていた。

そうこうしている内に目的の清渓川を発見。今日はライトアップ控えめなんだなぁとガッカリしていると、突然彼女が僕の手を振りほどいた。

「どうしたの?コレ(手繋ぎ)必要なかった?」と聞くと、「やっぱり私の心には好きな人が…」と言う。この事は予想外でも何でもなく既に知っていた事だ。

日本に帰ってきて連絡を取り合い、「ソウルでデートしようか。」と彼女に言った時、既に同じ答えが返ってきていたからだ。

それは勿論承知の上。僕は一応自分の考えていることを話しておきたかったので、彼女の言葉に被せるようにして少し言葉を繋げた。

「僕は今回君に会いに韓国にきた」

「分かってるよ」

「君が居なかったら韓国には一生来なかったかも」

「アナタが私に会いに韓国へ遊びに来るって言ってくれて嬉しかった」

「うん」

「…」

自分の中国語力不足もあり、若干モヤモヤとした会話をした後、少し気まずい雰囲気になりつつ2人で川べりを黙々と歩く。

やがて韓国で使われている文字ハングルを作った人の巨大な像が置いてある広場に出た。辺りには像の周りにいる警備員以外は誰もいない。極寒の中無言で立ち続ける警備員に不気味さを覚えた。

彼女がハングルの歴史を解説しだす。いつもの調子。空気が平常時に戻った。

その後、そろそろ帰ろうかということになり、彼女が帰る方法をスマホで調べ出す。だがそこで彼女の終電がなくなっていることに気づく。

じゃあタクシーを拾おうかということで、大きな道路に出てタクシーを止めて乗り込むも、家の場所を告げたら相当料金が高くなることが分かったらしく、彼女は乗車を辞めて出てくる。

彼女が「どうしよどうしよ」ってなってる横で時計は0時を差し旧暦の新年を迎える。

僕は彼女を元気づける意味で「新年快樂~新年快樂~」(「中国語で明けましておめでとう」的な感じ)とか言ってはしゃいでみせた。

けど彼女は「うえーん!」とアニメみたいに泣いていた。頭の中がいっぱいになっている状況で新年を迎えたのが悲しかったのかもしれない。やはり中華圏の文化において旧暦の年越しは重要らしい。

とりあえずバーかカフェで朝まで飲もうか?ってことになり、休憩とこの後どうするかという話し合いの場も兼ねて近くにカフェに入るも「今日は旧暦の新年だから0時で閉店です。」と店員に言われて結局お店を追い出される。

その日は連続で12時間くらい行動していたので正直朝までバー飲むという気分では無く、そのための体力も残っていなかった。それは彼女も同じという事は察している。

朝までどう過ごすか

ソウルの街並み

ソウルの凍てつく寒さが思考を鈍らせる。

とりあえず人気が全くないソウルの大きな道路脇のバス停のベンチに2人で身を寄せあって座り朝までどう過ごすべきかを考えた。

じゃあ…と少し間を置きながら一呼吸おいて、僕は過去にも言ってみたことのあるような提案をした。

「僕の泊まってるホテルに一緒に泊まる?ここから割と近いし」

「え~それは駄目」

「けど今日は色々案内してくれたし、疲れたでしょ?朝まで飲むのは体力的にも多分キツイ。」

「うん」

「じゃあホテルでゆっくり朝まで寝て休もうよ」

「でもー…」

「なんで?別に何もしないよ」

「ほんとに?」

「ほんと」

「絶対!?」

「絶対だよ!」

「じゃあ分かった…」

ちょっとした押し問答の後、彼女と一緒に僕の宿泊しているホテルに向かう。妙な光景だ。

道の途中、彼女に何度も「ココ!?」ってラブホテルやMOTELを指さされる。意図的なのか何なのかは分からないけど頭はあんまり回ってない。

ちなみに後で知ったのだが、韓国ではラブホも男同士で入ろうが普通のホテルとして宿泊することが出来るので、ラブだろうがMOだろうが普通のホテルという認識らしい。とは言え一応男女なんだがね。

今思えば別に自分の宿泊しているホテルに拘らなくても、それ相応の設備があるホテルに入ってその気にさせてしまえば良かったなとも思う。

その時の冷えきった外とは裏腹に僕の頭は全然冷静じゃなく「違う違うココじゃない。」という単調な応答を繰り返させていた。

やがてホテルに到着し僕の部屋へ向かう。

一緒に過ごす最後の時間

駅構内のグラフィック

韓国は土地柄とても寒いので、身体を効率よく温めるため「オンドル式」という構造を採用した建物が多い。

オンドル式とは平たく言うと床暖房のことで、寝る時も身体が冷えないようにこの床暖房の暖かさを感じるために、直で薄めの布団を敷いて寝る。

僕の泊まっていたホテルもそういう部屋だった。しかもこんな状況になることなんて全く想像していなかったので、部屋には当然シングルサイズの布団しか置いていない。

2人で寝るにはちょっと…という感じ。まぁはみ出ても布団だから落下する心配はないんだけど…。

幸いこのホテルのスタッフは日本語ができた。フロントに連絡して今日泊まれる2人用の部屋がないか確認してみることにした。すると1室だけ空いているという。その部屋に2人で移動する。

部屋に入るなり彼女がおもむろにテレビを付けて面白そうな番組を探しだしたので、僕はtwitterを眺めたりしていた。しばらくするとテレビに飽きたのか「よし、眠くなるまでお喋りしよう。」と突然言い出す。

一区切りついたところで今度は急に「寝る!」と言い出す。

彼女は悪い子ではない。けどいつも自分勝手に振る舞って僕を振り回す。

「「おやすみ。」」

2回目の別れ

ソウルの朝の街並み

朝を迎える。僕の帰国日。

空港に余裕を持って到着できるよう少し早めに起きて、彼女にそろそろ準備してチェックアウトしようと促すと、彼女は「まだ寝てるから、もう少し寝かせてくれ。」と言う。

「いや起きてるじゃん?」と半笑いで言うと、「寝てるんだよ!!」と何故か本気で怒り出すので、仕方なく僕の飛行機の本当にギリギリの時間までホテルで一緒に滞在する。

もうそろそろ時間的に限界ラインだなってところで彼女が起き、軽く準備をして「よし、いいぞ!」と言ってきたので出発。2人で最寄り駅まで歩く。

「今日はいい天気だわ~」と寝起きの機嫌の悪さはどこへ行ったのかと思うくらい、朝の綺麗な空気と適度に日差しのある屋外の感想を彼女がカラッと楽しそうに言う。

最寄りの駅に到着する。

改札の前で最後の別れの挨拶、僕は「ありがとう、君のおかげで本当に楽しかったよ。」と伝えると、彼女が僕の身体を引き寄せ軽くハグ。

その後彼女が耳元でペラペラっと今回一緒に遊んだことについて何か中国語で言う。もちろんその時の僕の中国語力では聞き取れなかった。

けど僕と話をする時用のいつもの会話スピードじゃなかったので、ちょっと照れくさいことを言ったことはなんとなく分かった。

別れた後、僕は1回彼女の方へ振り返ろうと思ったけど、彼女がこっちを見てなかったら寂しいので振り返らず地下鉄のエレベーターで下に降りた。

最後に

そしてこの後彼女と付き合い始めて結婚しました。みたいな話のオチがついてめでたしめでたしという締めにならず大変申し訳ないが、以上が台北に住み始める前にあった中国人女性との出来事の一部始終である。

柄にもなく思うのは、こうして僕が住む予定の台北で勉強したい言語を母国語とする彼女と会ったのは、やっぱり何かの縁かなということ。

結果的に翌々日から始まった台湾留学生活において、外国語を使って自分の国以外の人とコミュニケーションを取る楽しさを改めて教えてくれた彼女は、僕に学習意欲を漲らせてくれスタートダッシュも切らせてくれた。とても感謝している。

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プロフィール

ナカジマチカ

名前:ナカジマチカ
1985年生まれ31歳。横浜出身。東京でサラリーマンとして約7年働いた後、台湾で中国語を1年間勉強。現在は台湾を拠点にフリーランスとして働きながら時々他の国を旅行したりしつつ、台湾に生まれてたら納豆絶対食べないわとか考えたりして生きています。
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nakazimachica[at]gmail.com

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