ども台湾在住のナカジマチカ(@nakazimachica)です。
体感ですが最近中国語を学ぶために台湾で語学留学をする人がまた少しつづ増えてきているような気がします。
それに伴い、僕自身がかつて台湾で語学留学を経験していることもあってか、中国語学習についてアドバイスを求められることもあるので、いつも「初期の段階で発音はしっかりやっておくといいぞ」と答えています。
これは中国語をある程度学んで、その後中国語を使っている人ならば大部分が同意できる考えでしょう。
けどこのアドバイスを受けた人の反応を見るに「まだ中国語を学んで実際に使ったことがない人からすると、これをイメージするのって難しいんだろうなぁ」と感じるんですよね。
その後、X(旧Twitter)で「中国語学習の初期段階で発音の重要性を見落として、変な癖がついたまま学び続けると後で苦労するよね。」みたいな内容を投稿したところ「あるある」な反応がちょこちょこあったので、この件についてもう少し書いてみたいと思います。
ちなみに自分は語学の専門家でも教師でもないので、かつて台湾に留学して中国語を学び、今も台湾で中国語(台湾華語)を使って生活をしている人のひとつの考えとしてご覧ください。
目次
かつて自分もそうだった
なぜ今回こういったトピックで書こうと思ったかと言うと、お察しの通り僕自身も中国語を学び始めた初期の段階では、発音の重要性を正しく認識できていなかったんですよね。
その結果、温かい眼差しを向けられていた「下手なりに中国語を頑張って話す外国人」を経て、「確かに話せてるんだけど、こいつの中国語ちょっと変だな?」の段階に入ってから、発音が原因で会話に時々支障が出ることに気付き、発音を初期の段階でもっとしっかりやっておけば良かったと後悔しました。
僕は日本語で独学→台湾で語学留学の順で中国語を学んできたのですが、当時は台湾人と話せるようになりたい気持ちが先行し、発音が満足ではない状態のまま学習を進めていました(通っていた語学学校の先生からも発音についてよく指摘されていた)。
今振り返ると語学留学前にやった独学に関しては、スピーキングには一切手をつけず、単語の意味を覚えるのと、中国語コンテンツに触れて中国語を耳に慣れさせるだけに留めておき、語学留学では一番下の初級クラスから始めて、発音を自分の体に叩き込んだほうが良かったのかもなぁとも思っています。
中国語を話す際、発音に問題があると実際どうなるのか?
そもそも発音が中国語にどう影響するのかって話なんですが、日本人からすると同じように聞こえる音や声調でも意味が全く異なったり、ほんの少しの違いで相手に伝わらなかったりします。みなさんならこの記事で改めて紹介するまでもなく既にご存知でしょう。
自分の実体験を紹介すると、僕が台湾で語学留学を始めた当初、家の近所にある飲食店を頻繁に利用していたのですが、口頭で何かしら注文をしなくてはいけない所が多かったんですね。しかも外国人慣れしている人が多い地域でもありませんでした。
中でもドリンクスタンドで甘さを調節する際に言う「微糖 wēi táng」と、紅豆餅(日本の今川焼きのような食べ物)屋でよく選んでいた「芋頭 yù tóu」味(タロイモ味)は、全く通じませんでした。
文字にしたらたったの2文字ですが、2,3ヵ月くらい注文し続けても店員さんからは毎回「ハァ?」と言われて、口に出して注文するのが嫌になりそうでした。それぐらい中国語において発音は大事なわけです。
なぜ発音の重要性を認識しないまま中国語学習を進めてしまうのか?
実際のところ中国語を学ぶ方々は「発音は大事」という話を必ず初期の段階で見たり聞いているはずです。
しかし学習がある程度進んでから「あの時ちゃんとやっておけば良かった…。」と後悔の念に駆られる人がいるのも事実。
今はSNSなどで経験者の意見を容易に聞いたり知ることもできる時代です。ではなぜ覆轍を踏む人が出てきてしまうのでしょうか? この原因を自分なりに考えてみます。
1. 中国語の発音は難しいし、練習は地味で退屈
中国語の発音って難しいですよね。xiとsiとshiなんてカタカナで近い音をあてると全部「シー」になりますし最初は全部同じように聞こえます。声調を全く新しい概念に感じる人もいるでしょう。
語学学校や塾などに通っていて、先生に指摘され、発音を繰り返し練習させられても、なかなか100点に近い音を出すのは難しいと思います。
発音練習を各種球技に置き換えると、野球なら素振り、サッカーならリフティング、バスケならドリブルになるでしょうか。大事なのは分かってるけどそういう地味で疲れることをやるよりは、やっぱり早く試合などの楽しい部分にいきたいわけです。
中国語の正しい発音を身につける大変さや訓練の地味さ、これも初期の段階で発音をしっかり固めるのをついつい放置してしまう原因のひとつかもしれません。
2. 母語(日本語)の影響
日本語は、発音が重要ではないわけではありませんが、多少正しい発音からズレていても文脈で相手が何を言っているかは大体推測できることが多いと思います。そもそも日本国内だけ見ても、地域によって同じ単語でもアクセントに差がありますよね。
日本語を母語として育った日本人の場合、その感覚で中国語の発音を軽く見てしまい、どの段階からでも修正が可能だと考えてしまってもおかしくはないと思います。
3. ネイティブスピーカーのリップサービスの捉え方
「你的中文很好 … あなたの中国語はうまいね」。
中国語を学習している身で、中国語が使われている場所で中国語を喋って、このフレーズを言われたことがない人はおそらくいないでしょう。
僕は台湾で語学留学をしていたから特に多かったのかもしれませんが、こちらが少しでも中国語を喋れば褒めてくれるネイティブスピーカーは非常に多いです。
あとネイティブスピーカーの中にも、自分達の言語をとても難しいものだと考えていて、外国人が頑張ってその言語を話していたら、反射的に「(外国人にしては / 後天的に身につけたにしては)うまいね!」と言う人はいると思います。
ただ本当にある程度の水準に達していたら、容姿が明確に現地人と異なるなどの外的要因がない限り、そもそも外国人だと気づかれないので称賛の言葉は出てきません。
自分が話した中国語を褒めてもらった時、もしまだ自分の中国語のレベルが初級〜中級だと自覚があるならば、「通じてるからいいか」で正しい発音を身につけるのを疎かにせず、よりレベルアップするための糧にしたほうがいいでしょう。
あと「発音が完璧になってから中国語で喋ろう」みたいな姿勢も会話力向上の妨げになり良くないので、初期の段階は中国語環境を積極的に求め、中国語で話そうとする力を上げつつ、ネイティブスピーカーとの会話を通して正しい発音を吸収して、中国語力をバランス良く鍛えていく必要があると思います。
最後に
中国語を学ぶ目的が、海外旅行などで中国語話者と出会った時に最低限の意思疎通をしたい等であれば、気にせず自分が楽しく学べる方法で中国語を学べばいいと思います。
ただ、将来的に中国語メインの環境で生活なり仕事なりをしようと考えているのであれば、発音は初期の段階でしっかりやっておいたほうが後々の苦労を減らせます。
以上、いまだに時々発音で苦労しつつ矯正を頑張っている中国語学習者の経験談でした。
ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。