ども台湾在住のナカジマチカ(@nakazimachica)です。
先日台中を訪れたので、ついでに寄れる面白い場所がないか探していたら、昔大型複合施設だった廃墟を丸ごと利用してアート空間にしてしまったビルがあるという情報を入手したので早速行ってまいりました。
今回はその台中にある「千越大樓」を紹介していきたいと思います。それではご覧ください。
目次
千越大樓とは?
千越大樓は1973年台中の中区に落成した百貨店やレストラン、ダンスホール、アイススケートリンク、駐車場などを有する大型複合商業施設です。当時は台中駅前のランドマークとしても賑わっていたそうです。
しかし度重なる火災事故の影響でお店が移っていき、千越大樓は徐々に没落。その後建物は長期間放置され人気のない幽霊屋敷のようになっていきました。
2017年、アートチーム「逃亡計劃 Escape PLAN ”X”」が千越大樓に進駐し、建物全体にグラフィティをはじめとしたアート活動を行ったことで千越大樓は一変しました。
例えどんなに素晴らしいアートでも許可なしに公共物や他人の所有物に描くことは違法ですが、彼らが千越大樓をカラフルで活力のある姿に変えた写真をネット上にアップしたことがきっかけで話題になり、千越大樓は台湾の若い人達の注目を集める場所になりました。
千越大樓の場所
千越大樓は台中駅(台中火車站)から歩いて5,6分で行くことができます。
綠川親水步道を挟んだ有名デザートショップ「宮原眼科」の向かいに位置しています。
千越大樓の入場方法
実は千越大樓は無料で一般開放されているわけではなく、管理委員会のオフィスで100元(約470円)の「清潔費」を払うことで入場できるようになっています(2019年9月15日当時)。
また、個人的に建物内部を見学したり写真撮影をする場合は当日の手続きでも問題ありませんが、例えばMVや映画の撮影など商業利用をする際は事前連絡の上、予約が必要です。
入場手続きおよび清潔費の支払いは千越大樓1階部分にある都市更新會という場所で行います。
オフィスの中にいる人に「我要參觀千越大樓(ウォヤオツァングアンー チエンユエダァロウ)」と伝えて100元を渡しましょう。
するとこんな領収書が貰えます。
その後は都市更新會のすぐ横にある通路から千越大樓の内部へ入ることができます。
千越大樓の様子
それでは千越大樓の内部を見学していきましょう。ちなみに1階はお店がいくつか入っているので営業の邪魔にならないよう配慮する必要があります。
建物内全ての場所が開放されているわけではないので、今回は立ち入りが許可されている場所を順番に紹介していきます。
千越大樓は2棟構成になっています。
どことこなく時代を感じるエレベーターホール。このエレベーターの内1基は現役で、5階に事務所や店舗を構える人やそこを訪れる人達専用のエレベーターとして使用されているようでした。
見学者はスケートリンク「巨蛋冰宮」の看板横の階段から上がります。
広い空間がある3階。黒く変色したコンクリートとところどころ水たまりができた床に加え空気が淀んでいます。
瓦礫とゴミが積み重なっている場所もあるので注意して歩く必要があります。
台湾の廃墟は大体こういうソファが置かれていて写真撮影に使われることが多いです。そしてまた次の人が座って撮影してと繰り返していきます。
柵が完全に壊れてしまっている2棟を繋ぐ連絡通路。
何かのサービスを提供している風のカウンターですね。
スプレーで彩られている朽ち果てた通路。
そしてまたソファ。台湾人のInstagramを見ていると、足を組んでキメキメで座って少し煽りで撮影した写真をよく見かけます。
こんな壊れ方をしている小便器は見たことがありません。
ここは半分が何も置かれていない空間、もう半分がテーブル席なのでディスコとして活用されていたのではないでしょうか。
別のフロアへ行きます。可愛いペイントの階段がありました。
冒頭で紹介したアートチーム「逃亡計劃」が事務所を構えている5階。ソファやテーブルが設置され居心地が良さそうです。
5階には他にも古着屋があったり個展なども行われています。
また、管理されている空き部屋は借りることもでき、実際に住んでいる方も何人かいるそうです。
古着屋の店員さんが開店前の一服。お客さんがどのくらい来るのか気になります。
5階には往時の千越大樓の資料なども貼られています。千越大樓はオープン当時「綠川商業大樓」と呼ばれていたようです。
こちらが千越大樓を現在の雰囲気に変えた逃亡計劃の事務所前です。
ひとつのぼって6階屋外広場へ。逃亡計劃のFBページをチェックしてみたところ、ここで逃亡計劃主催のイベントが行われることもあるそうです。
6階屋外広場から見える壁一面に塗装された千越大樓の裏側。こういうのってどうやってスプレーしていくのかあまり想像できません。ビル外壁洗浄と同じ要領でしょうか。
使用済みのカラースプレー缶もアートの一部。
7〜12階フロアは開放されていません。
12階まで行くと階段があるので、ここを上がると13階屋上へアクセス可能です。
台中駅前の街並みが見渡せます。例によって防護柵はないので注意して歩く必要があります。
12階屋上から6階屋外広場を見ると逃亡計劃の英名であるPLAN-Xのサインが。
たなびく逃亡計劃のフラッグ。
屋上には更に円盤型の建物があります。
円盤型の建物の中へ入ってみましょう。この建物は台湾で初めてできた回転レストランだったそうです。
円盤型の建物は3階建構造で上にのぼることもできますが、床が抜けている部分もあり安全性が保証できないためウロウロするのは控えました。
千越大樓は廃墟ということもあり、ゴミが結構多いんですよね。
そのため「只有垃圾才会留下垃圾 … ゴミだけがゴミを残す。」という啓発文書が書かれていました。
ちなみに今回見学の許可を頂いた管理委員会の方々の話によると、この千越大樓を1,2年以内に取り壊して新しい千越大樓を建てる計画が決まっているそうです。
最後に
以上、台中の千越大樓という建物の紹介でした。
繰り返しになりますが今回紹介した状態の千越大樓は取り壊しが決まっているので、鮮彩な廃墟として見学したり写真に収めることができるのはあと数年です。
興味がある方は是非現場にて、かつて台中・中区のランドマーク的存在だった千越大樓の現在に至るまでの軌跡をご自身の目でご確認ください。
施設情報
千越大樓
台中市中區綠川西街113號地図(Googleマップ)で見る
ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。