ども台湾在住のナカジマチカ(@nakazimachica)です。
先日台中へ遊びに行ってきました。台中の代表的な観光地といえば彩虹眷村や高美湿地、そしていつも客が絶えない「宮原眼科」が挙がるのでないでしょうか。
僕が最初に宮原眼科を知ったのは行列のできる人気アイスクリーム店として訪れた時で、多くの日本人にとって宮原眼科および姉妹店の第四信用合作社はアイスや台湾土産を購入できる観光地のひとつとして記憶されているのではないかと思います。
ですが個人的に宮原眼科と第四信用合作社には、店頭で売られているアイスなどのデザートと同じように注目して欲しい部分があります。それは建物のデザインです。
2店舗とも何十年も前に建てられた建築物を活かし、巧みなリノベーションで仕上げられており、その店舗デザインは台中を代表するデザートショップ且つ観光地になったことと決して無関係ではないはずです。
そこで今回は宮原眼科と第四信用合作社における食の部分ではなく、建物外観や内装をじっくり見ていきたいと思います。どうぞご覧ください。
目次
宮原眼科
宮原眼科の概要
元は日本統治時代の1927年に宮原武熊氏が開院した眼科であり、当時の台中にあった眼科としては最大規模の診療所でした。
終戦後、宮原武熊氏が帰国することなり、宮原眼科として建てられた診療所は別の施設として利用されていましたが、台風や1999年9月21日に台中で発生した大地震などの影響で雑草が茂る廃墟になってしまいます。
その後2010年にパイナップルケーキ等で名を馳せていた日出グループがその建物を購入、リノベーションし、デザートショップとして新しいスタートを切りました。
「宮原眼科」というデザートとは全く関係のない名前を店名に冠しているのは、建物ができた当初の眼科の名前を使用しているためです。
宮原眼科の外観・内装
宮原眼科の外観。外壁の赤レンガと重なっているように見えるガラス屋根とホワイトスペースが絶妙です。
宮原眼科は戦後しばらく「臺中市衛生院」として利用されていました。若干かすれていますが正面からその刻まれた院名を確認することができます。
赤レンガでできたアーチ型の拱廊が可愛いです。
正面入口。扉には「100」の形をした取っ手がつけられていて、この数字は本建物が100年近い歴史を持っていることを意味しています。
この扉を店内からから見ると取っ手の数字が「120」に変わります。
これは「120歳まで食べて生きてください」という長寿を願う意味が込められていて、退店する客に向けてその言葉を贈っているそうです。
店内に入ってすぐの様子。非日常的な空間に圧倒されます。
巨大な本棚風の装飾が印象的ですよね。
そのテーマに合わせて、一部の商品はブックカバーのようなパッケージデザインになっています。
花のシャンデリアと5m近い丈の真紅のカーテンが店内をラグジュアリーな雰囲気に引き立てます。
天井は花の彫刻になっていて、太陽光を優しく採り込みます。
上品な黒・ベージュ・グレーの格子状床タイル。
一部の商品棚はかつて建物に使用されていた建築資材をそのまま活用しているように見えます。
歳月を積み重ねた木材とこの配色の天板のテーブルの相性が○。
購入商品ラッピング用のリボン。全てお持ち帰りしたい美しさ。
かつての構造を留めているであろう、少し屈まないと通ることができないドリンク売場への連絡通路。日本統治時代の建築にはこういう天井の低い出入口がよく見られます。
こちらはドリンク売場の棚に収納されたお茶っ葉を保存している容器。
お馴染みアイス売場。壁全面に梅の木の装飾が施されています。
宮原眼科はそこまで大きいわけではありませんが、上階のレストランフロアへ続く階段横の鏡が店内を開放的に演出しています。
3階から店内を見下ろすとまた異なる状貌が見えてきます。
店舗情報
宮原眼科
台中市中區中山路20號地図(Googleマップ)で見る
営業時間/10:00〜22:00
定休日/なし
第四信用合作社
第四信用合作社の概要
第四信用合作社は日出グループ傘下のデザートショップのひとつで、宮原眼科の姉妹店です。
宮原眼科と同様、1966年に建てられた第四信用合作社の建物をベースにリノベーションが施されています。
こちらのお店も元はデザートショップとは全く関係ない銀行ですが、提供するサービス内容が変わっても「第四信用合作社」をそのまま店名に流用しています。
第四信用合作社の外観・内装
第四信用合作社はコンクリートむき出しの無骨な外観です。
こちらは常用される出入口ではありませんが、かつて銀行だったことを象徴する重厚な金庫扉があります。
第四信用合作社は宮原眼科と同じようにお土産も販売していますが、商品売場の面積は控えめで、フードコートが中心になっています。
コンクリートなどを活かしてデザインされているため、赤レンガが用いられていた宮原眼科とはまた違う趣があります。
コンクリートに合うスチームパンク的な要素が店内を構成。
この飲食スペースはコンクリートの柱に、孫文氏の顔が目立つ台湾の旧5元札が壁紙になっているので、物々しい雰囲気を醸しています。
おそらく当時使用されていた建築資材を再利用した木のテーブル。
銀行らしい台湾の1元硬貨が敷き詰められた壁。
こちらは1階アイス売場のお会計カウンターです。当時の窓口の仕切りを再利用しているようです。
2階に上がってみました。当時の窓口と待合スペースの雰囲気が想像できそうなレイアウトになっています。
1階で見た窓口の仕切りが今度はテーブル上の仕切りとして活用されていますね。
向かい合って座ると膝と膝がくっつきそうなこじんまりとしたボックス席。
昔この辺りに客と行員が座り、契約や手続きに関する説明などが行われていたのかもしれません。
窓枠の中に貼られた台湾の旧紙幣。
個性的な形状のテーブルです。工場にあるような物体を再利用しているように見えますが、第四信用合作社が“現役”だった頃にここで使用されていたものでしょうか。
お手洗いの様子も少し覗いてみましょう。個室の扉は木製。
華やかなソープディスペンサーが場を彩ります。
店舗情報
第四信用合作社
台中市中區中山路72號地図(Googleマップ)で見る
営業時間/10:00〜22:00
定休日/なし
最後に
以上、台中にあった古建築をリノベーションしてお店にした宮原眼科と第四信用合作社の外観・内装の紹介でした。
宮原眼科と第四信用合作社を訪れた際は、アイスやお土産を購入するついでに是非その店舗デザインを隅から隅まで観察してみてください。
ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。
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