僕はいま台湾師範大学の語学センターで中国語を学んでいます。
学校にお金を払って物事を学ぶこということを約10年前に一度は終えた僕ですが、学生卒業後、仕事や趣味などで人に何かを伝えるという経験を通して、生意気にも今は中国語教師の教え方を見て色々思うことが出てくるようになってしまいました。
先生、僕はこういう教え方をしてくれたら、とっても嬉しいです。
自分が考える理想の中国語の先生の教え方6ポイント
01.中国語だけで授業を行ってくれる
「え?普通に先生は中国語を使うんじゃないの?」と思われた英語が話せない日本人のみなさま(僕も)に残念なお知らせですが、説明を全て英語で行う先生もいれば中国語と英語半々で進める先生もいて、使用言語を含めた教え方のスタイルは様々です。
前の学期では別のクラスにいた日本人の知り合いが「説明が全て英語だから何言ってるか分からん。」と僕に愚痴を漏らすということもありました。英語が聞き取れない人もいるので当然ですね。
中国語だけで授業が行われれば、普段から中国語を聞くことで耳が中国語に慣れる効果もあるでしょう。最初は何を言ってるか分からなくても、授業で頻繁に使われる言葉は最終的にほとんど理解できるようになりますし、細かな中国語の言い回しなどの発見にも繋がります。
中国語の授業において教師が中国語だけを使って授業を進行することは、教える本人が思っている以上に学び取れることが多いです。よってみんなが平等な条件のもと学べる目の前にある言語を使った授業の方がメリットは大きいと考えます。
02.教科書を自分なりに解読して再構築している
僕がいま使っている教科書は1冊15課から成る構成になっていて、1つの課が終わると次の新しい課に入る形で授業は日々進みます。
その15課を15回とも全く同じやり方で進めた場合、マンネリ化することは用意に想像できます。だから課ごとに教え方を適度に再構築して欲しいのです。
教科書に載っている順序は国の方針ということで大事なものかもしれませんが、絶対に守らなければいけないものではないと思います。
教師だって1人の人間なので「自分だったらこう教える!」そういった欲が出てくるのは当然です。僕はその個々の考えを是非教え方に反映して欲しいと考えています。
教科書上では1,2,3,4,5の順番で書かれていたとしても、4,2,5,3,1の順番で学んだほうが効率良く実りが大きいという考えに至れば、それに沿った形で教えて欲しいし、その教え方の方が学生のことをより大事に思ってくれているように感じます。
03.ノンバーバル・コミュニケーションも併用してくれる
僕は外国語を学ぶ場合、教師のノンバーバル・コミュニケーション能力や表現力の豊かさの重要度はとても高いと考えています。
使う言語が変われば文化も違うので、他の言語でカバー出来ない言葉も当然出てくることもあるでしょう。過去に習った中国語だけで理解が難しい言葉をこねくり回しても、その文化圏の中で育っていない人たちは理解できない可能性も当然あります。
そこで助けになるのが言葉に頼らない説明です。
例えば動物の名前だったらその動物の鳴き声を真似してくれたら大体は分かりますし、どういうシチュエーションでその言葉や文法を使うかは小芝居をしてくれたらすぐ理解できることもあります。もちろん絵が上手ならばその場でホワイトボードに描いてくれれば一発でしょう。
海外のモールなどでショッピングを楽しんでいる時に催しても、フロアマップの案内を見れば例えそこに書いてある文字が読めなくてもトイレの場所はなんとなく分かりますよね。そういうことです。
04.学生の好きなことを引き出してくれる
教師から学生に対しての好きなことの引き出しが度々行われると、学生同士で「あ、この人はこういう人なんだ。」といった具合に互いのことを知る機会が増えて仲が深まるきっかけになります。
相手の興味があることが分かれば雑談なども振りやすくなり、授業外でも活発に会話が行われ、その結果だんだんと距離が近づくので、クラスの雰囲気作りに効果があるように感じます。
クラスの雰囲気が良くなれば(間違ったことを言うのを敬遠する日本人でも)発言もしやすい空気が出来上がり、中国語を学ぶ環境において良い循環を起こすことができます。
05.学生から聞いたことを覚えていて必要に応じて引き出せる
過去に聞かれた自分のことについて覚えてくれていると、自分に関心を持ってくれていると感じますし、教師と学生という立場の垣根を飛び越えてきてくれるような、良い意味で友人同士のような関係になれるのが僕みたいに暗くて素直に人に甘えることが出来ない人間にとってはとても嬉しいわけです。
あと、以前聞かれて答えたことを新しいことを習った際に「ほら君あれ好きでしょ?こういう時コレをこう使うんだよ!」って教えてくれるとすげぇ分かりやすいんです。自分が関心を持っていること=人との会話でちょくちょく語る内容ってことですから、その日以降絶対に使いますし自身の中国語の引き出しの一部として定着します。
学生から聞いたことを授業に合わせて自在に取り出せる記憶力・判断力・引き出し力は、授業に抑揚を与えてくれる上、学生達を退屈させない授業進行の助けになるはずです。
06.例文を学生の興味のあることに置き換えて説明してくれる
「使えるなぁこの言葉(もしくは文法)」って思わせてくれると、習得意欲が高まって、今後その言葉を使う回数も増えるでしょう。口に出して反復することでその言葉は頭に残ります。
「ディス イズ ア ペン」とか興味のかけらもないし、使う機会なんか絶対ないって話ですよね。「これは猫です。」とかそりゃ見れば分かるわみたいな。ちなみに僕は中学生の頃NEW CROWNを使ってました。ムカミが柔道が得意なことしか覚えてません。
話を中国語に戻して、つまり「中国語を学ぶことは良い仕事を探す時に役立ちます。」みたいな提携中の定型的な例文ではなくて、「中国語は台湾の夜市で小吃を注文する時に役立ちます。」とか身近な興味のあることに置き換えるだけで、自分がその例文を使って喋るイメージを持つことができるわけです。
自分が口に出して話したかった言葉が、中国語を使う人達に自分の中国語で通じたら絶対楽しいじゃんってことですね。
最後に
学生ひとりひとりと友達のような関係になることについては、台湾師範大学の語学センターにおける少人数制クラスならではの考え方みたいな部分もありましたが、僕が理想とする良い中国語の教え方を挙げてみました。
実はこの中国語教師に対しての理想ですが、僕が台湾師範大学の語学センターに通い始めた時、初めて自分のクラスの担任となった方の教え方を参考に書いています。
その先生の教え方は小学校から高校までの退屈な授業の思い出を吹っ飛ばし、自分が抱いていた授業の先入観を覆すほどの自分にとって、人生にとって非常に価値のある理想型の教え方だったわけです。
今でも僕はその先生と同じ学校に通っていまして、自分のクラスの先生ではなくなってしまったものの、たまに廊下ですれ違えばその度に「好想你~」と想いを伝えておます。
結局中国語及び言語というよりは、何を教えるにしても応用が効くことだと思うので、今後万が一、僕が何かを教えることになった際は、この先生の理念を自分の中に住まわせて取り組むと思います。
ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。