ども台湾在住のナカジマチカ(@nakazimachica)です。
台湾の街には何十年も前に建てられた古い建物が多く残っており、それらは薄汚れた外壁に極彩色の看板等の組み合わせが日本の街では見られない特殊な美を有しています。
僕が住む、台湾で一番発展している台北市にも古い建築物は多いのですが、最近同市の「南機場」というエリアに築60年を超えて尚現役の大規模アパート「南機場公寓」があるという情報を小耳に挟みました。
そこで早速、南機場公寓へ足を運び、現場の様子を撮影してきました。今回はその様子をお届けいたします。それではご覧ください。
目次
南機場公寓とは?
名称について
「南機場公寓」という名称は「南機場」という地名、そして中国語でアパートを指す「公寓」から成っています。
南機場という地名は、南機場公寓のある一帯が日本統治時代に軍用飛行場があった地域であり、その軍用飛行場が台北市の北にあった松山空港に対し南にあったことが由来して、「南機場(南空港)」になっているそうです。
また「アパート」と聞くと日本では木造の低層集合住宅が想像されますが、台湾では建物構造を問わず6階以下のエレベーター設備がない集合住宅を「公寓(アパート)」と呼びます。
沿革
南機場公寓は1963年に当時最もモダン且つ高級な集合住宅として建設され、総戸数は1,264戸にものぼり、当時の5階建て集合住宅としては台湾最大の規模を誇っていました。
ただ60年以上の時を経て、現在の南機場公寓は老朽化、不衛生、水漏れ等の様々な問題を抱え、住民も主に高齢者や低所得者層、他国や他地域から引越してきた新移民が多くを占める場所になっているそうです。
南機場公寓の場所
南機場公寓は台北市南西部のやや中途半端な場所にあるので、出発地点によってはバスやYoubike、Uberなど使用した方が楽にたどり着けます。台北MRTの最寄り駅は龍山寺駅です。
南機場公寓の様子
南機場公寓は一期・二期・三期の3エリアに分かれています。今回は事前の下調べで特に興味を持った一期と三期を中心に見ていきます。
まずは三期から。上の階になるにつれ人の気配が薄れているように見えます。
現在の南機場公寓は高齢の居住者も多いそうなので、エレベーター設備がない5,6階はやはり需要が少ないのでしょうか。
この生活感が妙に絵になる。
生活感その2。
内部にあった張り紙。ドラマなどの撮影の場として使われることも多いようです。
1階に設けられた憩いの場。
穴あきコンクリートブロック。遠目から見た模様は✕だけど、近くで見ると実は可愛いデザイン。
日本の集合住宅の敷地内でこんなコーナー見たことない。
後ろを振り返るとトライアングル。
続いて一期の方へ。両サイドに広がっているのが南機場公寓第一期の建物です。
台湾の集合住宅と言えば外壁から突き出たこの「鐵窗」。
薄暗い通路を通って階段のある中央部分へ進みます。
真っ昼間ですが1階通路は街灯に照らされた深夜の路地のよう。
1階中央部から見上げた空。狭い。
上へ行くためには南機場公寓一期の象徴と言ってもよいこの螺旋階段を使います。
ぐるぐると上へ。
階段を登っていくと各階ごとに左右に分かれる通路があり、それぞれに2戸ずつ部屋があります。
三期の構造と異なるのは同じ階にある部屋を行き来するための連絡通路が無い点です。例えば前後の部屋にアクセスする場合は螺旋階段を登り直す必要があります。
上まで登って下の様子を眺めた時に見える各住戸の創意工夫。
ゴミや建築資材、植物が積み重なった屋根。
1階へ戻ってきました。敷地内にはゴミが散乱していますが、辺りにはレストランや軽食を売る屋台も多いので放置されている商売道具も多いです。
食材もアリ。
最後に
以上、築60年以上の歴史を持つ南機場公寓の紹介でした。
1階・2階にはお店も入っているので、住民以外が敷地内を出入りしていても違和感はない場所ですが、観光地ではなくあくまで只の住宅地なので、訪れる場合は住民の方々の迷惑にならないようひっそりとご覧ください。
南機場公寓のすぐ側にある南機場夜市も、士林夜市や饒河夜市のような観光夜市とは全く異なる雰囲気があってオススメです。
施設情報
南機場公寓
台北市中正區中華路二段地図(Googleマップ)で見る
ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。