ども台湾在住のナカジマチカ(@nakazimachica)です。先日住んでいる台北を離れ台中に数日間滞在してきました。
滞在にあたり宿の確保をはじめとした準備をするわけですが、個人的に台中は以前宿泊した無人ホテル「chase walker hotel」のような興をそそられるホテルが多数存在しているように感じます。
今回はそんな台中にある個性豊かなホテルの中から、荒廃した古建築をベースにモダンなデザインを施して魅力的に仕上げてしまった「SOF Hotel(植光花園酒店)」に泊まってきたので、客室や共用スペースなどのホテル内の様子を紹介していきたいと思います。
目次
SOF Hotelとは?
SOF Hotelは2018年にオープンした台湾・台中のホテルです。
歴史を少し遡ると、元の建物は50年以上前にホテル「白雪大飯店」として建てられましたが、後に立地エリアの衰退とともに白雪大飯店は廃業。建物は十数年放置され荒廃していきました。
その後、SOF Hotel現責任者がその建物を再びホテルとして運用することを決定し、ニュージーランドのFearon Hay建築設計事務所を招聘して6,000万元(約2億400万円)と3年半の年月をかけてフルリノベーション。
SOF Hotelとして造り直すにあたり、元の建物の柱や天井、壁などをあえて保持したままデザインされ、まるで泊まることができる廃墟のようなホテルに生まれ変わりました。
SOF Hotelへのアクセス方法
SOF Hotelは台中駅(台中火車站)から徒歩約10分の位置にあります。
台北から台中駅への行き方は下記の記事をご覧ください。
SOF Hotelの客室や共用部、設備を紹介
専有部(客室)
まずは専有部である客室の中を見ていきましょう。廊下の黒い壁と一体化しているようなミニマルな客室の扉から入ります。
部屋の出入りにはこのカードキーを使用します。
SOF Hotelにはいくつかのルームタイプが用意されていますが、今回僕はスタンダードダブルルームに宿泊しました。この画角から想像できるように1〜2人用の部屋なので決して広くはありません。
ベッドサイドにある作業用机と椅子。基本的にインテリアは木材と黒で統一されています。
コンセントは各プラグタイプに対応したものが合計4つありました。もちろん日本の電化製品も問題なく使えます。
クロークには寝泊まりに必要な最低限の物が置かれています。
衣類用ハンガー。IKEAのやつですね。
フェイスタオルとバスタオル、使い捨てスリッパ、ドライヤー。
ペットボトルの水。そしてコップやティッシュ。
冷蔵庫は小さめ。
ユニットバスになっているトイレと洗面所。歯ブラシや歯磨き粉、綿棒、ハンドソープなどの用意があります。
シャワールーム。シャンプーとボディソープはあります。
窓からの景色はシティビューです。夜になると二重窓の間にある植栽がライトアップされます。ルームタイプによっては専用バルコニーも付いています。
客室には廃墟的な要素はそこまで多くなく、天井や一部躯体がコンクリート剥き出し程度に留まっています。
共用部
次に共用スペースを見ていきましょう。まずはエントランス。
ちなみにホテル名のSOFは「Space」「Order」「 Form」の頭文字から取っています。
天井に設えた黒パイプがコンクリートの壁と非常にマッチしたレセプション。
レセプションの後方には小さなライブラリースペースがあります。
こちらはドリンクバー。宿泊客にはお茶やお菓子が無料提供されています。
そのドリンクバーの横にラウンジ。
同じ1階には宿泊客全員が自由に出入りすることができるテラスもあります。
こちらはレンガをあしらったエレベーターホール。ホテル外観を見る限り、このレンガも当時の建材を再利用しているのかもしれません。
客室がある階層では、各階に1つお湯・温水・冷水が出るウォーターサーバーが設置されています。
建物中央部は全階にわたり吹き抜けの中庭になっています。2〜7階にはその中庭をグルっと囲むように、1フロアにつき9つの客室があります。
そしてSOF Hotelの魅力は何と言っても、ベースとなった古建築の“美しい部分”を留めた、インダストリアルテイストと自然、新と舊が巧みに絡み合うデザイン。吹き抜けの周囲はその建築美がより際立っています。
この特徴的なデザインがよく分かる中庭上部の空間を色々な角度から見てみましょう。まずは煽り。
横から。効果的に配置されたグリーンやガラスフェンスなどの要素が、歴史の痕跡を刻むコンクリートに新たな生命力を与えてくれているようです。
手を伸ばして最上階の7階から見た1階中庭の様子も撮ってみました。
ちなみに夜はこうなります。世界遺産の勢い。
時々機能としては意味のないプレートの断片がボルトで固定されていたり、コンクリートから鉄筋が露出している箇所も見かけますが、それがこのホテルのテーマに適合した味となっています。
打放しコンクリートの建築において、熟慮しないと見た目が貧相になる可能性があるのが屋内配線ですが、SOF Hotelではアタッシュケースのようなゴツいアルミの配線ダクトレールを使用して配線しているようです。カーブが美しい。
上の廃墟的な箇所を見ていると建物の構造に不安を抱く方もいるかもしれませんが、元の建物はコンクリートなどの資材の品質が良かった時代に建てられたらしく、自分が実際に数日間滞在した感想としても建物はがっしりしている印象を持ちました。
SOF Hotelの懸念点
前項で写真とともに紹介したようにホテルとしては基本的に問題ないSOF Hotelですが、コレはちょっと気になる人がいるかもという点をあえて挙げてみます。
1. フリーWi-Fiにパスワードがかけられていない
SOF Hotelは部屋ごとにフリーWi-Fiが用意されていますが、接続の際のパスワードがかけられていないのでセキュリティ面で不安があります。
2. 一部のルームタイプには作業用机がない
予約する段階で気づいたのですが一番安価なバジェットダブルルーム(エコノミーダブルルーム)には作業などを行うための机がないようです。
スタンダードダブル以外のルームタイプには机が設置されているようなので、1階ラウンジもありますが個室でゆっくりPCなどを使いたい方はバジェットダブルルーム以外を選ぶことをおすすめします。
3. 構造上、上層階では日差しや虫が気になる
写真を撮るために最上階である7階に上がった時、吹き抜けの中庭部分に屋根がないので上層階(6,7階)の共用部の廊下などでは日差しがダイレクトに届く上、冷房効率も落ちるので熱気が充満していました。
また、そのまま外へ通じていて建物内に植物を多く配置していることから、虫などの侵入を多少許してしまうようです。そのためフロントには100元(約340円)で借りることができる虫除け(ベープ)の用意がありました。
ちなみに僕は3階の客室を案内されましたが、低層階(2,3階)では日差しや虫の影響はそこまで感じませんでした。
最後に
以上、台中のホテル「SOF Hotel(植光花園酒店)」の紹介でした。
SOF Hotelは共用部で見られる変色した壁や天井、露出した鉄筋、でこぼこの躯体などの特徴から廃墟風ホテルとも表現できるのかもしれませんが、時を重ねることで形成された美しさの維持を徹底しつつ、デザイン性と安全性を兼ね備えた良ホテルであることは間違いないと思います。
また、しつこく紹介してきたように特徴的なデザインが目立ちますが、台中のメインターミナルである台中駅から徒歩10分とアクセスしやすいことに加え、1泊5,000円代から泊まることができるお手頃価格なので、通常利用にもおすすめです。
台中駅周辺に滞在する際に、ビジネスホテルの水準を満たす一風変わった空間に泊まってみたい方は是非検討してみてください。
施設情報
SOF Hotel(植光花園酒店)
台中市中區光復路52號地図(Googleマップ)で見る
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ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。