ども台湾在住のナカジマチカ(@nakazimachica)です。
フリーランスという働き方で海外で生活してそれなりに長くなってきましたが、初めてお会いした方などに何をしているのか質問され自分の状況を答えると、“海外”や“フリーランス”と言った言葉の響きからかポジティブ寄りに捉えられることがあります。
経済的に余裕があればどこでも良い暮らしはできるのかもしれませんが、外国人という立場で将来を考えながら外国に住み続けていくのは、煩雑な手続きを行ったり、その国で生まれ育った人が長い年月かけて身につけたことを状況に応じて学ぶ必要があるので、大部分の人にとって母国に住むより乗り越えなくてはいけない壁が多いのは言うまでもありません。
ただ海外で暮らすことが大変でデメリットだらけかと言うとそうでもないので、今回は台湾で数年間暮らした自分が感じている、海外でフリーランスとして働きながら暮らすメリットを考えてみたいと思います。それではご覧ください。
目次
自分の状況
『海外フリーランス』と言っても幅が広すぎると思うので、これから行う話がよりスムーズに伝わるよう僕の状況というかプロフィールを改めて簡単に説明しておきます。
- 台湾在住
- 台湾で長期滞在及び就労可能な許可証(居留証)を所持
- フリーランス7年目
- 主に日本企業からWebコンテンツ制作などの仕事を受注
海外フリーランスは生活費が安いのがメリット? 台湾はどうなのか
海外で長期間暮らした経験がない方からすると、台湾などの日本以外のアジアの物価はなんとなく「安い」イメージがあるのではないかと思います。
日本でかかる生活費と同じ金額でより良い暮らしができるのが海外フリーランスのメリットだと思っている方もきっといらっしゃるでしょう。
この件については半分正解で半分間違いだと考えます。
僕は日本以外では台湾にしか住んでことがないので台湾事情しか語れませんが、例えば台湾の最大都市である台北に住んだ場合、1人で生活していて節約のためなら食や住居に関して妥協できる(適応できる)人なら、確かに東京で生活するより生活費はいくらか安くできます。
特に台湾では通信費、交通費、医療費も低く抑えることができ、健康保険料や国民年金、所得税などの負担も日本と比べれば少ないです。
ただ、単身でワーホリや語学留学などで当面はしばらく住むが、いずれ日本へ帰る可能性があることも考えながら生活するのと、家族やパートナー等と経済的な安定を目指しながら根を下ろして生活するのでは状況が全く異なるので、お金の使い方は変わってきますよね。
その国での将来を考えながら暮らすと安さだけを追った消費は難しくなると思いますが、台湾ではそれなりの品質のものはそれなりの価格で売られているため、人によっては生活費が東京で生活する時と変わらないか、更にコストがかかることもあるでしょう。
こうして数年間日本を離れ台湾を拠点に生活していて改めて思うこととしては、日本は東京を除けば分譲マンションの価格も台湾(特に台北)ほど平均年収から乖離していませんし、手頃な価格で手に入るものやサービスでも質がしっかりついてくる点は本当に素晴らしいです。
過去に何度も日本から台湾行きの飛行機に乗っていますが、日本の空港で見る、日本で購入したであろう物で山盛りになったカート押しながら台湾行き飛行機のチェックインカウンターに並ぶ台湾人の姿には納得しかありません。
以上の理由から、僕は台湾(台北)に関しては「日本で生活するより生活費が安くなる」とは断言できません。
食や住居にこだわりすぎなければ台湾(台北)でもこのくらいの費用で生活できるよという実例
海外フリーランスのメリットはどこにあるのか
では海外でフリーランスという働き方で生活する際、どういった点がメリットになるのでしょうか。
僕は基本的にPCに向かって成果物を作り納品することで報酬を得る仕事をしています。新型コロナウイルス流行後はオンラインミーティングも当たり前になり、1日中家から離れずとも仕事や仕事に関することができます。フリーランスで働いているとこういう人は結構多いですよね。
人との約束がなかったり意識して外へ出る機会を作らなければ家に籠もりがちになり、外出するのはせいぜい食事の時ということになります。
すると
- 電車の中で見た気になる製品やサービスの広告
- 同僚との会話の中で知ったおすすめレストラン
- お昼を食べた後に立ち寄った本屋で見つけた読んでみたい書籍
といった、出勤などのタイミングで外の世界に触れることで生まれていたような自分が興味のあることに偶然出会ったり、自分にとって予想外のものを発見する機会も失われていきます。
これら偶然の発見やひらめきを英語だと『serendipity(セレンディピティ)』と呼ぶみたいですね。
日常からこういった発見が少なくなったり欠けてしまうのは、知らず知らずのうちに創造力を衰えさせ、感度を落とし、視野が狭くなる可能性があるのでは考えております。
しかし海外に住んでいると家を一歩出たら、極端に言えば海外旅行になります。
長く生活していればすべての事象がやがて何の新鮮味もなくなることもあるかもしれません。それでも海外という環境は日常の中に非日常も共存している状態と言えるでしょう。
僕が住む台湾は比較的日系チェーンレストランや日本語を見かける機会が多く、海外にいる気がしないと感じる場所もあるものの、やはり海外であることは間違いないので、日本のように能動的に何か新しいことを探したり始めなくても少し外へ出れば
- すれ違う人のファッション
- 野生の動植物
- 道路上の案内
- 細い路地の風景
- ストリートアート
- 建物の造り
- 店頭の商品レイアウト
- 商品パッケージのデザイン
などなど、日常生活の中にある些細なことが新鮮な情報として自分に飛び込んできます。
日本でフリーランスとして生活していたら無かったであろう、こうした自然とセレンディピティを高めてくれる海外環境は僕自身たくさんの恩恵を受けていると思います。
ナカジマチカ / nakazimachica
神奈川県出身。日本で会社員として約7年間働いた後に独立し、中国語を学ぶための台湾語学留学を経てそのまま台湾移住。現在は台中市を拠点にWebコンテンツ制作の個人事業主として生活中。